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偲ぶ会 [追悼句]

 2014年 

  凡夫の自分などには、到底及びもつかぬ傑出した人が世にはいるものである。
 その言動は、若い人を育てることを第一に考えていたように見える。大物は清濁併せてというが、濁は決して飲まず、方や清酒を愛した。勲章などを毛嫌いし、権力を持ちながら分け隔てせず人と接しておられた。
 宴会では、客人をよそに仲居さんと議論したりしていた。愛犬のために膳の残り肉を紙に包んでポケットに入れて、見つかると照れ笑いをされながら言い訳をした。
 気くばりのひとという揶揄めいたあだ名は、接する人のことを真に思う立ち居振る舞いから付いたもので、本人は意にも介していなかったのではと思う。
 死すれば人は皆器が急に大きくなったりするが、この人は生前からまさしくそうであった。
 夕べ東京に降った雪がたいしたことがなく、朝晴れたのは、帝国ホテルに集まる大勢の老人への天上からの気くばりに違いない。享年八六。合掌。

  寒明けや気くばりボスのお別れ会  
kakudo111[1].jpg  

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